青蓮院は、京都市東山区にある天台宗の寺院である。
三千院、妙法院と並ぶ天台宗三門跡の一つで、天明の大火（1788年）の際に仮の御所となったことから、粟田御所とも呼ばれる。
最澄（伝教大師）が比叡山に建てた僧侶の住居の一つ「青蓮坊」に始まるとされ、比叡山の東塔の南谷がその故地である。
平安時代末期の行玄（ぎょうげん）の時に、三条白河(現在地のやや北西）に移り、鳥羽法皇の第七皇子が行玄の弟子として入寺して以来、皇族や摂関家の子弟が門主(住職）を務める「門跡寺院」となった。
歴代門主の内、三代の慈圓は歴史書「愚管抄（ぐかんしょう）」の著者として有名で、十七代の尊円入道親王は、和風と唐風を融合した青蓮院流（のちの御家流）と呼ばれる書風で知られる名筆家であった。
本堂は、熾盛光堂（しじょうこうどう）と呼ばれる三間四面の小堂で、中央の厨子内には本尊熾盛光仏頂如来を描いた秘仏曼荼羅が安置されている。
境内全域が国の史跡に指定されており、粟田山の山裾を利用した庭園は、龍心池を中心とした優美な池泉回遊式庭園で、主庭は相阿弥の、霧島の庭は小堀遠州の作と伝えられている。御殿廊下の一文字型飾り手水鉢は有名である。
門前にはこの寺で出家した親鸞聖人のお手植えと伝わる巨大な五本の楠（京都市登録天然記念物）があり、親鸞聖人童形像や植髪堂（うえがみどう）もある。
青黒く描かれていることから「青不動」の名で知られる「不動明王二童子画像」（国宝）は、高野山明王院の赤不動、三井寺の黄不動とならんで日本三大不動の一つである。
京都市営地下鉄東西線東山駅下車、徒歩5分。
