全興寺は、大阪市平野区平野本町にある真言宗の寺院である。
野中山と号する。開基は聖徳太子で、野の中にこの薬師堂が建てられ野堂と呼ばれた。
ここから人が住み始め平野の町が次第に広がっていったと言われ、旧町名の平野野堂町の起源となっている。
本尊は聖徳太子自作といわれる薬師如来像で、本堂に上がる階段上の蟇股(かえるまた)にタコの彫刻があるため、蛸薬師と呼ばれる。
現在の本堂は、1576年坂上利治によって再建されたもので、1614年の大坂冬の陣では、徳川秀忠の陣所となった。
当寺には、真田幸村が樋ノ尻口地蔵堂に仕掛けた地雷によって飛来したという「首の地蔵尊」が安置されており、1月8日の初薬師と9月の観月会には、本尊とともに公開される。
また、杭全神社の奥の院と仰がれ、毎年7月14日には「みこし渡御」の神事が行われる。
JR大和路線平野駅から徒歩12分。