熊谷寺は、和歌山県高野山蓮華谷にある寺院である。
本尊は阿弥陀如来である。
開基は真隆で、桓武天皇の皇子である葛原親王の御願により、承和4年(837年)に建立された。
ここはもと智識院であったが江戸時代後期に持宝院と合併し、「紀伊続風土記」には、「持宝院熊谷寺といふ」と記されている。
大正7年(1918年)に熊谷寺と改称された。
熊谷次郎直実が一の谷合戦後、京都黒谷の法然門下に出家入道して蓮生と改めた。
建久2年(1191年)高野山に登って持宝院に住し、平敦盛の霊を弔ったという故事から、建保2年(1214年)源頼朝が熊谷寺の号を授けたと伝えられる。
江戸時代には、本堂、護摩堂、内道場、寮などがあり、内道場に十一面観音を祀った。
この観音は明徳年中(1390-1394)大和当麻寺から納められたもので、歩行観音の名がある。
寺宝の「水鏡の影像」は蓮生が井戸に映る姿を見て刻した自寿像といわれる。
「歌の会の巻」は月輪関白九条兼実と法然・親鸞・蓮生が歌会の座をなすさまを描いている。
これは、高野聖が勧化(かんげ)唱導するのに用いたと言われている。
堂内には、「地獄極楽絵解き曼荼羅」がかけられている。
なお、当寺は持宝院・角之坊(すみのぼう)、奥之坊の名跡を持つ。
高野七福神の一ケ寺となっており、恵比寿と布袋尊が祀られている。
南海高野線高野山駅からバスで苅萱堂前下車。参拝者用の無料駐車場がある。→ 親鸞聖人宝篋印塔(親鸞聖人圓證兼実覚信尼墓所)