苧環塚(おだまきづか)

苧環塚(おだまきづか)は、奈良県桜井市にある。
古事記の「崇神天皇 (三) 三輪山伝説」に次の物語が記されている。
三輪山付近に活玉依媛(いくたまよりひめ)という美しい姫がいて、毎夜通う男がおり、やがて姫が懐妊した。
姫の両親は、男の正体を知るため、寝床のあたりに赤い土をまき、苧環の糸の端を針に通して、男の着物の裾に刺しておくように娘に伝えた。
翌朝、その糸の端は三輪山にまで達しており、あとに三輪だけが残っていた。
姫はここで初めて男が神のみこと(大物主神)と知り、残りの糸を土に埋めたという。
それが、当地の苧環塚といわれている。
塚の横には、「縁結び 赤糸の小道 周遊ルート」の案内図がある。

近松半二作の浄瑠璃「妹背山婦女庭訓」の初演時の番付などに記された外題の角書には、「十三鐘/絹懸柳」と記されており、大和の名所旧跡や伝説が取り入れられている。→ 衣掛柳 妹背山
四段目 「道行恋の苧環」では、苧環が取り上げられ、次のように語られる。
端に縫うてふ取り交す 縁の苧環いとしさのあまりて三輪も悋気の針、男の裾に付くるとも、知らず印の糸筋を慕ひ慕うて、

さらに、「姫戻りの段」でも、次のように苧環と法華寺横笛堂が登場する。→ 法華寺
「この主様には逢はれぬか、どうぞ尋ねて求馬様。もう目が見えぬ、懐かしい、恋しい恋しい」
と言ひ死にゝ、思ひの魂の糸切れし。苧環塚と今の世まで、鳴り響きたる横笛堂の因縁かくと哀れなり
(出典 日本古典文学全集 77浄瑠璃集ほか) → 妹背山婦女庭訓ゆかりの地



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