双蝶蝶曲輪日記ゆかりの地

文楽 歌舞伎の双蝶蝶曲輪日記ゆかりの地を紹介します。→  文楽応援団 ぷち解説 演目ゆかりのスポット

料亭「浮瀬亭」跡

料亭「浮瀬(うかむせ)亭」跡(大阪星光学園敷地内)は、大阪市天王寺区にある。
愛染坂中ほどに掲げられた説明板には、次のように記されている。
料亭「浮瀬亭」跡
(大阪聖光学院敷地内)
夕陽の名所であり、四天王寺支院である新清水寺の有栖山清光院の北隣で大阪星光学院校地西に当たる当地には、かつて江戸時代大坂を代表する料亭「浮瀬亭」がありました。
浮瀬亭は、その素晴らしい眺望とともに「浮瀬」という奇杯を所蔵していたことで多くの文人墨人をひきつけました。(後略)

人形浄瑠璃「摂州合邦辻」合邦住家の段では、玉手御前が①鮑の盃で俊徳丸に秘宝の毒薬を飲ませ、その後②玉手御前の肝臓の生き血を俊徳丸に飲ませて本復させる物語が描かれ、③浮瀬、玉手水、合邦辻閻魔堂が紹介されて幕引きとなる。
①「さればいな、去年霜月住吉で、神酒と偽り、コレこの鮑に勧めた酒は秘宝の毒酒、癩病発する奇薬の力、」
②肝の臓の生き血を取り、毒酒を盛ったる器にて病人に与へる時は、即座に本復疑ひなしと、聞いた時のその嬉しさ。
③涅槃の岸に浮かむ瀬と形見に残る盃の逆ごとも善知識、仏法最初の天王寺、西門通り一筋に、玉手の水合邦が辻と、古跡を留めけり

摂津名所図会には、浮瀬奇杯が描かれており、次の歌も載せられている。
 我戀(わがこひ)ハ 千尋の底の鮑貝 身を捨てこそ 浮瀬もあれ

人形浄瑠璃 双蝶蝶曲輪日記 「第一 浮瀬の居続けに合図の笛売り」では、次のように語られる。
こゝに一つの望みがござる. 京の女郎に長崎衣装着せて。ちゝやちんちん、ちつくり江戸の張りを持たせて. 大坂の揚屋で遊びたい.
ほんにそれもよかろかい. 飲めや歌へや一寸先は闇の夜の. 花を見るのも一趣向と.
浮瀬が奥庭の梅花の枝に蝋燭つり、夜の. 花見を見通しに. 飲み明かすは山崎与五郎、藤屋の吾妻、姉女郎の都もろとも居続けに、
弾いつ. 歌うつ太鼓の佐渡七. 御機嫌をとりべ山、かはい. かはいの烏の声. 夜明け前とぞ知られける.


大阪メトロ谷町線四天王寺前夕陽ケ丘駅下車、徒歩5分。





有栖山清水寺

有栖山清水寺は、大阪市天王寺区にある。
有栖山(新)清水寺清光院は、四天王寺の支院で十一面千手観音を本尊とする和宗の寺院である。
延海阿闍梨が寛永17年(1640)に、京都の清水寺を模して建立した。
北、西、南側が崖になった高台に位置しており、墓地横の梵鐘の置かれた「清水寺舞台」からは、通天閣やあべのハルカスが望める。

人形浄瑠璃 双蝶蝶曲輪日記 「清水寺での立ち回り」では、清水寺の観音と舞台が登場し、次のように語られる。
かくとも知らず南兵衛. 観音へ参詣し、売れ残りの笛売って往(い)のと. 舞台の上に荷を下ろし.

境内には、清水寺の音羽の滝に倣った「玉出の滝」があり、四天王寺金堂下の青龍池(せいりゅういけ)から滔々と流れ出る霊水が、流れ落ちるといわれている。
大阪メトロ四天王寺前夕陽ケ丘駅下車、徒歩10分。




観心寺

観心寺は、大阪府河内長野市にある高野山真言宗の寺院である。
寺伝によると、701年に修験道の開祖役小角(えんのおずぬ)により開かれ、雲心寺と名付けられた。
その後平安時代に弘法大師空海により如意輪観音像が作られ、本尊とした。
弘仁年間(810-824)に真言宗に改宗され、空海の高弟道興大師(実恵上人)により再建され、観心寺と称した。
観心寺の支院の中院は楠木一族の菩提寺で、境内には「楠公学問所 中院」の石碑が建てられている。
楠木正成は、後醍醐天皇から名を受けて金堂(国宝)を造営した。
また、三重塔の建立を計画したが、1336年に湊川で戦死したため、建掛の塔が金堂東側に残されている。
楠木正成の首級は、足利尊氏の命により観心寺に届けられ、楠公首塚として祀られている。
1359年から後村上天皇が塔頭総持院を行在所としていたことから、南朝の勅願寺となった。
総持院跡には、後村上天皇の行在所跡の石碑が建てられており、境内東側には、後村上天皇の檜尾陵がある。
本尊の如意輪観音坐像(国宝)は、秘仏として秘蔵されてきたこともあり、表面の彩色が鮮明に残る平安時代の代表的な彫刻である。
毎年、4月17日、18日の両日のみ参拝できる。→ 神呪寺 室生寺

人形浄瑠璃 双蝶蝶曲輪日記 「第九 観心寺の隠れ家に恋路のまぼろし」では、次のように語られる。
河内の国のかた辺りに幻竹右衛門といふ親父あり. 心にゆがむ節もなく、正直一遍歯に衣を着せねど付けし里の名は. 錦郡(にしきごほり)に侘住居。(中略)
春は早々この観心寺の開帳。その時は是非相撲。

南海高野線及び近鉄長野線「河内長野駅」から南海バスで「観心寺」下車すぐ。参拝者用の駐車場がある。





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